七姫物語 第六章

七姫物語』、3年ぶりの新刊。これにて完結です。
作品全体に漂う、何とも言えない透明感は相変わらずでした。一宮、二宮の連合と、七宮達の五都市同盟が正面からぶつかる展開で、戦争が起こり多くの人が傷ついているけれど...読んでいて血の匂いを感じない。でもそこには確かに戦いがあって、それは巫女姫たちも一緒。
どの都市にもそれぞれが思う未来や理想があって、それは互いに共感出来る所と相容れない所がある。都市の象徴としての立場で、決して政治に深く関われる訳ではない姫様たちですが、誰もが自分たちの出来る事を精一杯やって、前へと進んでいく展開がとても良かったです。
トエ、テン、そしてカラスミが見る、高くて遠い先。そこへ至るために進んでいく道は険しいものだろうけれど、でもカラスミが笑っている姿しか想像できない。合わせて、他の巫女姫たちも。まだまだこの先、どんな未来が待っているのか全く分かりません。でもいつの日か、巫女姫たち全員が、本当の意味で笑ってお茶会が出来る日が来る事を祈っています。その最初の一歩は叶うみたいだし。
これで完結は少し寂しいですが、それでも最後まで読めた事に感謝。良いシリーズでした。大満足。