大橋彩香 ワンマンライブ2016 「Start Up!」
大橋彩香の1stライブに行ってきました。会場はZepp DiverCity TOKYO。18時から2時間のライブでした。
どこかのイベントで聞いた『明日の風よ』で気になって、2015年のアニサマで見た『ENERGY☆SMILE』で衝撃を受け、それから注目して追いかけてきたアーティストの1stライブ。どんなものを見られるのか、期待と不安が入り混じりつつ会場に向かったのですが、終わってみれば杞憂でした。予想の遥か上を行く、これ以上ないぐらい素晴らしいライブだったと思います。
以下、感想 & セットリストです。
感想
Zepp DiverCityと言う広いライブハウスがチケット完売、満員の人で埋まる。期待の高さが始まる前から伝わってくる中、「起動」をイメージした映像で幕が上がり、1曲目はアルバムリード曲の『ABSOLUTE YELL』。タイアップシングルとそのカップリング曲が続いていく序盤は、持ち前の安定感抜群な歌唱力と、場慣れした堂々とした歌い方で危なげなく進行していく様は流石の完成度で、今まで見てきた大橋彩香そのものに感じられました。観客の期待に真っ向から応えていく、頼もしさすら感じられるパフォーマンスでした。
続くはアコースティックコーナー。ライブでやりたいと思っていたとの事で、歌うは『ジャスミン』と『明日の風よ』の2曲。アルバムでも可愛らしく歌っていた『ジャスミン』は、アレンジが加わって一層可愛らしさが強調されたように感じられたし、自分が大好きな『明日の風よ』は、緩急のあるアレンジでいつもとは全く違った表情が見られる素晴らしい出来でした。
衣装チェンジから『Super dreaming days』をはさみ、「ここからは格好良い大橋も」と始まったコーナーの1曲目に流れたのは、『RED SEED』のイントロ。自分の真ん中にある根暗な部分を歌詞にしてもらったとインタビューで語り、真ん中が故にアルバムでも中盤に収録したと言っていた1曲。ライブでも中盤に配置されていて、本人のこだわりが感じられました。
この日、事前に自分が見たいと思っていたものは「感情のこもったRED SEED」でした。前々から、歌は上手いけど「楽しい」以外の感情が全くこもらない歌い方をしていて、どこか物足りなさを感じていました。自分らしい曲だと言うインタビューを何度も目にして、アルバムではあまり感情を込めずに歌われていたけれど、この曲、そしてこの1stライブと言う場なら、その物足りなさを埋めてくれるんじゃないかと言う期待が大きかったのです。
...しかし、こもっていなかった。この曲だけは微動だにせず、歌声と表情に集中して見ていたのですが、アルバムと同じような歌い方で、特別なものは伝わって来ませんでした。「...そっかー」と、ここで正直なところ、少し落胆したのを覚えています。
だけど。
本編ラストで、『流星タンバリン』を歌っているはっしーの、なんと楽しそうな事か。満面の笑みと、全身から溢れ出る「楽しい、嬉しい」と言う感情。それを目の当たりにした瞬間、自分の中で繋がりました。イベントやラジオではいつもニコニコしていて、愛嬌をたっぷり振りまく。それは本心を表に出さないための、一種の仮面や壁の類だと思っていました。この解釈は多分正しい。でも、あれはあれで本心だったんだと。心の中に暗い部分はあるけれど、でもそれは表には出さない。出せないんじゃなくて出さない。この日見た『RED SEED』は、その決意みたいなものだったのではないか。その代わりに、「楽しい」と言うポジティブな気持ちを、とにかく沢山届けるんだ、それがアーティスト大橋彩香としてのスタイルなんだと、そう伝えているんじゃないかと。
「楽しいを届ける」と言うテーマは、本人も何度も口にしている事なので知ってはいました。でも定番のテーマでもあるので、本当に本心なんだろうか? と穿った見方をしていた部分も少なからずあったのですが...でも本当に本心なんだと、しっかりと伝わってきて。
『流星タンバリン』を聞きながら、こう気付いた瞬間に、もう涙が堪えきれませんでした。だって、これ以上ないほどの笑顔で「Musicは最高!!」って歌ってるんですよ。最初は人前で歌うのが嫌だったと言っていた子が。『RED SEED』みたいな想いを自分の真ん中に持っている子が。未来に向けて挑戦しよう、手を伸ばそうって。皆で一緒にって、そう歌うんですよ。もう信じるしかないじゃないですか。
その後のアンコールで聞いた『ヒトツニナリタイ』は、過去に何度か聞いたどの『ヒトツニナリタイより』も、気持ちが入っているように感じられたし、満を持しての『YES!!』は本当に弾けていて楽しかったです。そしてなにより、ワガママを言って1曲増やしてもらったと、最後のあいさつが終わった後にステージから退場してくメンバーを呼び止めて追加で歌った『ABSOLUTE YELL』。この日の1曲目と同じ曲のはずなのに、別の曲でした。歌い方も込められている気持ちも全部違う。ほんの2時間前に聞いたばかりなのに、こうも変わるものなのかと。ライブはなまものだと言いますが、ここまでハッキリと体験した事はほとんどありません。本当に、本当に素晴らしい1stライブでした。
この日のライブを最後まで見て、一番見たいものが変わりました。今見たいのは、「楽しさと嬉しさで壊れるぐらいに弾けた大橋彩香」です。それは未来の『流星タンバリン』なのか『ENERGY☆SMILE』なのか。はたまた、まだ生まれていない楽曲になるのか分かりません。そしてこれを見るのは、「感情のこもったRED SEED」を見るよりも、ずっとずっと難しいだろうなと思います。楽しさはアーティスト個人の努力だけでは作れない。ライブ会場の空気が、一体感が何より大事になるだろうから。
でも。アンコールに入って、時折流れそうになる涙を誤魔化つつ、歌やライブに対する気持ちをMCで語りながら飛び出した「ファンの皆と信頼を築いていきたい」と言う一言。そしてステージ上のはっしーと、ファンの間で交わした約束の指切り。これらの意味を忘れなければ、いつか届くんじゃないかなと思います。その日を迎えられるよう、微力ながら応援を続けていこうと心に決めたライブでした。
参加された方々、お疲れ様でした!!
セットリスト
- ABSOLUTE YELL
- 裸足のままでもこわくない
- Doing Now!
- おしえてブルースカイ
- にゃんダフルらぶ
- ジャスミン(アコースティックVer)
- 明日の風よ(アコースティックVer)
- Super dreaming days
- RED SEED
- No Surrender
- 勇気のツバサ
- ENERGY☆SMILE
- 流星タンバリン
- アンコール
- en1. ヒトツニナリタイ
- en2. YES!!
- en3. ABSOLUTE YELL