義兄

twitterの一部でやたらと話題になっていたので読んでみました。ティアラ文庫と言う事で、女性向けジュブナイルポルノ。明治時代を舞台に、母の再婚を機に、裕福な家へと入った雪子は、そこで義兄となる少年・章一郎と出会う。章一郎は幼い頃から義妹である雪子に執着していたが、年を経るごとにその愛は歪みを増し、遂には一線を超えてしまい...と言うお話。

ティアラ文庫を読むのはこれで2冊目(1冊目は『384,403km』)。あらすじを読んだ限りでは、雪子が一方的に責められるだけなのかと思っていましたが、実際はそうでも無く。確かに義兄の偏執的なまでの愛情と責めを受け入れている訳では無いのですが、しかし身体は快楽を忘れられず、徐々に堕ちていく展開。幼い頃から兄に心を縛られて、身も心も逆らう事が出来ない状態で快楽に浸る様は、背徳的な淫靡さに満ちていました。特に兄の歪んだ愛情から生まれる責めはエロいなー。刺青とか、雪子が嫌がりながらも抗いきれずに感じていく所とか。

どう考えても幸せな結末を迎えそうに無い展開のまま進むのですが、終盤には雪子の初恋が待っていました。幼い頃に会った少年と再会する事で燃え上がる恋心。兄の呪縛から解き放たれ、思いの丈をぶつけて結ばれる展開には、これで幸せになるのかなー、でも在り得ないよなーと、読みながら二つの気持ちがせめぎ合う。そして雪子が恋人相手の快楽に物足りなさを感じた時点で、もうダメだなと思ったのですが、結末はその遥か上を行くバッドエンドでした。義兄の執念はこれほどまでか...。しかし泥沼に嵌り堕ちていく話には、救いのない結末が良く似合う。
この先の二人を思うと、もう破滅しか待っていない気がするけど...お幸せに、としか言い様が無いなぁ。