Zぼーいず/ぷりんせす

高校生の主人公・文吉とその友人・健太郎の2人は、ある日、街で小さな女の子を見つける。実はその子、人間界に迷い出た死神の姫様(3歳相当)で、主人公達はお腹が空いたと命を食われてゾンビ化してしまった。姫に命を食われた人間は、不死身の姫護者となり、姫の下僕として命を守る存在。しかし納得の行かない主人公達は、命を返してくれ、と頼み込むが、姫は3歳児なので戻し方が分からず...と言う感じのお話。

田口仙年堂の新作。突然身に降り掛かった不幸に戸惑うものの、子供のした事なら...と、寛容に死神の姫・クリクリの世話をする文吉と健太郎達。慣れない子供の世話と彼女のワガママに振り回されつつも投げ出さずに接する様が微笑ましくて良かったです。
前半は子育て的なドタバタを中心にコメディ成分多めに進みつつ、後半にはシリアスな展開もシッカリと。街を騒がす通り魔事件に主人公達のクラスメイトと健太郎の幼馴染が巻き込まれ、一気に事態は緊迫。不死身である姫護者だけど、しかしただ不死身なだけで、戦う力なんて持っていない。目の前で起こった惨劇を止められず、己の無力さに嘆く展開は辛かったです。
しかし、それでも折れずに立ち上がり、一度は希望が見えて、でも誰かが犠牲にならないといけない。そんな状況で通じ合う健太郎と幼馴染の絆にグッと来て、本当にその選択しか無いのか...とガックリしながら読んでいたのですが、最後にやってくれました。発想の転換で見事にちゃぶ台をひっくり返す熱い展開に燃えた!! この展開があるから、田口仙年堂の本は読みたくなってしまいます。

主人公達が元の身体に戻るためには大変な困難が待っていそうですが、クリクリの世話をする体制も整ったし、何とか成し遂げると信じています。この先、どんな熱い展開が待っているかと思うととても楽しみ。続きに期待です。