陰陽ノ京 月風譚 黒方の鬼

電撃文庫から出ている『陰陽ノ京』シリーズの新作。平安京を舞台に陰陽師達の活躍を書いた作品です。とは言え、これはシリーズの続きでは無く、主人公を保胤の甥・光榮に移して書かれた1冊。多少関連はあるものの、話としては独立した内容になっていました。左大臣を呪詛する符が見つかった事から、その犯人探しと護衛につくお話です。

面白かったです。久しぶりに出たシリーズ新作なので、アレコレ覚えているか不安だったのですが、話が繋がっている訳では無いので、何の問題も無く楽しめました。読み進めていく内にキャラも思い出してきたし。
言動は粗野だけど腕は超一流な光榮の活躍がとても良い感じ。言葉遣いは荒くても、芯がキッチリと通っている性格なので好感が持てます。また今回強く印象に残ったのは、とある嘘。哀しくも優しい嘘が素敵でした。「嘘」とだけ聞くと悪い印象が強いんですが、人を救う嘘だってある。その事を見せつけられました。最終章の話はグッと来るモノがあります。左大臣も光榮も格好良かった!!

しかし、メディアワークス文庫の方でもシリーズ展開するのでしょうか。面白いから続いて欲しい所。少し伏線が張ってある感じなので、続きが出る事を期待して良いのかなぁ。