法石姫

故・大迫純一が残した最後の長編作品。主人公は幼馴染の少女と仲良く学園生活を送る、男子高校生。ある日、欺哦と呼ばれる化け物との戦いに巻き込まれてしまう。何とか難を逃れたものの、その欺哦と戦っていた女性は力尽きてしまう。しかし敵はは他にもいて...と言うお話。

ここで終わってしまうのか...と思わずにはいられない1冊でした。まだ話はこれからなのに...!! 異世界からの侵略者と影ながらに戦っていた女性に助けられ、自分の命は救われたものの、その女性は助からず、残されたのは、その戦いをサポートしていたオウラと呼ばれる存在。
そのオウラと知り合った主人公が、徐々に戦いに巻き込まれていく展開はとても王道。このまま戦いに身を投じるのかな? と思いましたが、そんなに甘い展開じゃありませんでした。序章がラスト付近に繋がるような書かれ方で、ここにどう繋がるの? と思っていたら、とんでもない事に。
学校に欺哦の危機が迫り、最愛の幼馴染の危機に、主人公は決断します。オウラのパートナーとなって欺哦と戦う事を。でも、その代わりに払った代償はあまりにも、あまりにも大きくて。普通だったら挫けて立ち直る事すら出来ないような、大きな代償。でも主人公は俯かない。幼馴染を守る、そしていつか失った物を取り戻せるかも知れない、そんな気持ちからでしょうか。ラストで毅然と立っていた主人公はまさにヒーローでした。
そしてオウラ。永遠にすら近い昔から欺哦と戦い続け、人知れず世界を守っていた彼女もヒーローでしょう。自分の存在を知るのはパートナーだけ。そんな孤独を抱えて、でも戦う事をやめずに立ち向かい続ける姿は壮絶と言っても良いぐらい。主人公共々、格好良いんだけれど、そんな単純な言葉で言い表すには躊躇いを感じてしまう、そんな話でした。

主人公が決意を固め、これからが本番と言う所で1巻は終わっています。続きが読みたいけれど、それは永遠に叶わないのが残念でなりません。