θ 11番ホームの妖精

あらすじにハードSFとあったんでどんなもんかと思いましたが、読んでみると確かに割とSF。電撃では珍しい感じがします。
鏡のような門を通して3次元を2次元に圧縮する事で超高速移動を可能とする技術・C.D.を軸に、この技術によって作られた鉄道と、東京駅の遥か上空にある「11番ホーム」が舞台。主人公はこの11番ホームの駅員で、その駅で起こる幾つかの事件のお話です。
起こっている事件は物凄く派手なんですが、全体的にはそれ程派手な印象を受けない不思議な展開。平和からは程遠く、血みどろになるような事件ばかりなのに...最後には皆笑っているからでしょうか。読後感は微妙に暖かい感じ。登場人物が極端に少ないのも、ちょっと関係あるかも。ヒロインと狼、後は事件の当事者ぐらいしか出てこないし、さらに舞台となるホームが完全に世間から切り離された所にあるから一般人の入り込む余地も無い。誰も見ていない所で活躍するヒロインと言うのも悪くないですね。
話の展開を考えると、どうやらシリーズ化する模様。ヒロインにはまだまだ隠されている秘密が多そうだし...一応チェック。