美少女を嫌いなこれだけの理由

第2回『このライトノベルがすごい!』大賞・栗山千明賞受賞作。
美少女。性別も年齢も超越した、一つの種族として「美少女」が存在する世界が舞台。主人公は極貧な男子高校生。ある日、給料に釣られて、あるエリアの「美少女」を統括する「簡易美少女局」のサポートマネージャーに就任。「美少女」たちの力を使って収入を得ようと努力するが、何故か中央の局に睨まれており、上手い具合に仕事が回らず...と言う感じのお話です。

「美少女」が種族を表す、と言うトンデモない設定を軸にして書かれた作品。最初読み始めて、一体何を言っているのこの本は!? と戸惑いまくりました。だってさー、見た目はどうみても10代の女の子なのに、中身はオッサンだろうがおじいさんなんですよ? 主人公に至っては「父親が美少女」と言う、これだけ読むと本当に何を言っているのか分からない設定ですよ? 親の半分が美少女だから、主人公は準美少女なる扱いを受けるとか...理解が追いつくまで大変。しかも一回理解しても、読んでいる内にクラクラして大変でした。よくもまぁ、こんな設定思いついたなーと感心する事しきり。
話としては、主人公がサポートする美少女達に振り回されつつ、安定した収入を得るために頑張る展開。凄い設定にも関わらず、お仕事モノ的な側面もありました。嫌がらせを受けてもそこから立ち直っていく展開が良かったです。
また、一番良かったのはサブリナ。吸血鬼の属性を持っている美少女なんですが、中身はオッサン。ここで言う中身は、性格的なものでは無くて、本当にオッサンと言う意味です。これが一途なキャラで良かった。見た目とのギャップがアレですが、惚れた相手とどう接すれば良いのか分からず、普段以上に不器用になってしまう所が大変可愛らしかったです。加えて筋の通った性格をしているのも好印象。やっぱり根性のあるキャラは、性別見た目問わずに良いですね。
終盤、バトルが始まった時にはこれまた何が起こったのか謎でしたが、終わってみれば上手い具合にまとまっていて、最初から最後まで翻弄された内容だったと思います。まだまだ続きそうな雰囲気もあるので、もし出たら読みたい。