魔弾の王と戦姫

主人公は地方の貧乏貴族。ある日、隣国との戦に駆りだされたが大敗し、敵国の捕虜となってしまう。主人公を捕虜としたのは、隣国に7人いる「戦姫」と呼ばれる存在の1人。自分の領地に戻るためには、身代金を払わねばならないが、途方も無い大金で、払えるかどうか分からず...と言う感じに始まります。

とても面白かったです。こんなに盛り上がる川口士作品は初めてだ!!
地方の貧乏貴族な主人公が戦争へと駆り出されて捕虜になり、自分の国へ帰れるのかどうかわからない状態で話が進む不安定さにドキドキしっぱなし。主人公は弓の達人で、剣や槍は全然使えないけれど、弓ならば誰にも負けない...と言うか歴史上でも他にいなかったんじゃないのか? と言うレベルの腕前。その腕を見込まれて、戦姫には配下にならないかと誘われたりもした事もあり、自分の領地へと帰らないんじゃないか...と言う不安が常についてまわります。捕虜としての扱いは丁重で、特に酷い事をされる訳ではないのですが、それでも主人公は自分の領地に慕ってくれる侍女を残していて、この子に再会出来るか分からない状態で進む展開に、心が痛みました。
主人公がそんな状況にあってもめげず、終始落ち着いていたのが好印象。流石は地方とは言え領地を任される立場にあるだけの事はありますね。ここぞと言う時の行動力にも溢れ、凄く頼りになるキャラで、読んでいて気持よかったです。

そして。上にも書きましたが、主人公の武器は弓。弓はロマンですよロマン!! 常人には不可能な射撃を何でもない様な気軽さでやり遂げ、周囲が呆然とする...と言う展開が読んでいて爽快。どんな射撃を見せてくれるのか? と思うと、ワクワクが止まらなくなります。しかも終盤には、ビックリするようなものまで飛び出し、メチャクチャ興奮しました。この先、どれだけのものを見せてくれるのか、本当に楽しみ。なにせタイトルが「魔弾の王」だし。

と言う訳で大満足な1冊でした。続きに大期待。