放課後のダンジョンにほまれはよみがえる魔物を見た

築地俊彦角川スニーカー文庫から新刊。
旧陸軍の広大な演習場跡に立てられた巨大な学園・洲冥高校が舞台。広大な敷地に加え、戦時中に秘密裏に作られた地下施設が、さながら地下迷宮のように広がっていて、誰もその全容を知らない。そんな地下の地図を作るために存在するのが生徒会付属の測量部。主人公・乃歩は、高校で偶然再会した幼馴染・ほまれに引っ張られ、測量部に入る事になってしまったのだが...と言う展開。
ちょっと微妙な1冊でした。学園の地下に広がる迷宮を探索して地図を作る、と言う設定は非常に好みでワクワクしながら読みました。地下迷宮は期待通り面白そうな雰囲気だったのですが...主人公の幼馴染であるほまれが、好きになれず。天然かつ強引な性格で、周りを引っ張るリーダーなのですが、余りにも天然過ぎてもう少し頭を使ってくれ...と言いたくなりました。地下迷宮は決して安全な所ではなく、戦時中の遺産として謎の怪物なんてものまで出てくるのですが、それでも「平気だから」と1人で突っ込んでいくのがどうにも。1人で無茶するなら別に良いのですが、周りの部員も巻き込むんだもんなぁ。流石にイラッとする。
主人公はそんなほまれを諌めながら、でも一番に振り回されるポジション。本人は測量部の活動を嫌がっていますが、ほまれは放っておけない、と言う事で、半ば悟りを開いたかのような立ち位置なのが、かなり不憫。強く生きてくれ...。多分、この先も振り回されっぱなしなんだろうなぁ。