”菜々子さん”の戯曲 小悪魔と盤上の12人

第13回学園小説大賞・優秀賞受賞作の2巻。小学生だった1巻から時は過ぎ、菜々子さんは高校2年生になり、映画研究会に所属。主人公は1年生の男子高校生・宮本で、菜々子さんに惹かれて映研に入部。ある日、学校内で盗撮写真が出回っていると言う噂が流れ、しかもその犯人に映研が槍玉に上がってしまう。疑いを晴らすため、宮本は調査を開始するが...と言う展開。
続編が出ると聞いた時、どうやって話を続けるのか疑問だったのですが、一気に時間を進めて舞台が高校に。菜々子さん自体は表立って話には絡んでこず、専ら主人公が中心。全体としては盗撮写真の真相を解き明かしていく流れなのですが、ちょっとずつ細かな謎が出てきては主人公が頭を使って解決していく展開が続きます。主人公は目立つタイプのキャラではありませんが、頭は切れる。少しずつ真相に近づいていく展開が面白かったです。しかも、どの謎も一筋縄では行かない。何度も裏をかかれる展開で、とてもシッカリとしたミステリでした。
そして菜々子さん。表立っては活躍しませんが、それでもこの人が脇役の訳が無い。成長した菜々子さんは、その小悪魔っぷりに磨きがかかりました。なんせサブタイトルは『小悪魔と盤上の12人』ですよ? 小悪魔は菜々子さんの事なので、主人公を含む12人の登場人物は駒扱い。完全に皆、菜々子さんに踊らされています。裏で暗躍するのですが、それは事件の解決のためは無く、全ては自分の望みのため。一番凄かったのは、映画に興味があるようには思えない彼女が、何故映画研究会に入ったのか? と言う真相がチラッと明らかになった時。読んでいて、「...うわぁ!!!!」と思いました。非常に菜々子さんらしいけど、怖い。怖いわー。