テルミー

あの『超人間・岩村』の作者の新作。
高校の修学旅行でバスが事故に。主人公は修学旅行に参加出来なかった男子高校生。1クラスの生徒がまるごと犠牲になった悲惨な事故で、唯一生き残ったのはヒロイン・輝美。輝美の中には亡くなったクラスメイト達の「最期の願い」が残されていて、主人公はその願いを叶える手助けをする事に...と言うお話です。
何とも切ないお話でした。亡くなったクラスメイトの願いを叶えていく。残された願いは、残された人達へ思いを伝える事であったり、心残りをなくすためであったり。何にせよ、読んでいて切なくなる展開だらけ。そして自分を犠牲にしてまでも皆の願いを叶えようとする輝美の、思い詰めよう。自分だけが生き残ったのだから...と奮闘する姿は痛いぐらい。自分の心の中に、クラスメイト全員の心が宿っていればそうせざるを得ないだろうけど、それだけであそこまで頑張らないよなぁ。
でも、プロローグに書かれている通り、この作品にはハッピーエンドしかあり得えません。本来なら叶えられるはずも無い最期の願いを叶えられるのだから。本当なら事故も無く、全員が無事に帰ってくるのが最高の修学旅行ですが、もう起こってしまった事実は覆らない。だからこそ、これは奇跡。ヒロインとそれを支える主人公の2人の、哀しいけど優しいお話でした。