”菜々子さん”の戯曲

第13回学園小説大賞・優秀賞受賞作。小学6年生の時に起こったとある事故。その事故で主人公は意識はあるけれど全く動く事が出来ない寝たきり状態、クラスメイトのNは死亡。ヒロインの菜々子さんは、その事故の時に主人公から名前を呼ばれた事がトラウマとなり、本名を呼ばれると発作を起こしてしまう体質に。そして時を経て3年後。中学3年生になった菜々子さんが、事故ではなく事件だったのでは? と、主人公の病室で語り出す感じで話が進みます。
面白かったです。過去を振り返る形で推理が進む、ミステリ仕立ての内容。本当に事故ではなく事件だったのか? 事件だとしたら犯人は誰? と、主人公が考えていく展開が良かったです。話が進むに連れ、事件だった事はほぼ確定的になっていくのですが、そこで犯人として浮かぶキャラは...と考えると、色々と怖い。特に、菜々子さんがどんどん怖く思えていく展開が見事です。多分ミスリードなんだろうなぁとは思いつつ、それに踊らされるを得ない。
そして、最後の最後で明かされる真相と菜々子さんの思惑。全部明かされても、やっぱり菜々子さん怖い!! 怖いの意味は変わったけど。全部ぶちまけても悪くないんだろうけど、それよりもこうしておいた方が、繋がりは強くなるもんなー。怖い怖い。