てのひらのエネミー

スニーカー文庫には初登場、杉原智則の新刊。
かつては魔法が飛び交い、魔王が支配していた世界も、今では魔王は倒され、魔法使いは弾圧され、科学が魔法にとって替わる。そんな世界に暮らすアウルは、成績は優秀だが孤児院出身のため、学校では虐められっ子。そんな少年がある日突然、魔王の力を手に入れた...!
こんな話。某暗黒ファンタジーの著者とは思えない普通の内容です。その辺は『ワーズ・ワースの放課後』に通じるものがあります。しかしなー、なんでこんな中途半端なところで終わってますか? まだ続きがあるものだと思ってページめくったら、いきなり「あとがき」と書かれていて、すげー驚きましたよ。これ続き出るんですよね? まぁあえて出さずにここで終えると言うならば、ある意味神ですが...。そんな訳ないよな。
さてそんな終わり方はともかく、肝心の内容ですが。魔王が眠っている間に、科学が進歩して魔法よりも強力かつ有効なものになっていた、という設定は中々面白いです。呪文唱えるよりも、引き金を引くほうが速い。まぁそうだよなー。ただ、コメディとシリアスがなんか噛み合ってない感じがするあたりが微妙かも。主にガリルのコメディ部分。諸々の解説役として必要なキャラクタだと思うのですが、どうにも滑っている感が漂うキャラになっているような気がするのですが...。
いくらなんでも続きが出ないなんて事はないだろうから、次巻以降次第で大分評価が変わってくる気がします。この巻だけだと...うーん。そんな感じで。