あなたの街の都市伝鬼!

第18回電撃小説大賞・金賞受賞作。
高校1年生の主人公は、妖怪や都市伝説の話が大好きで、民族学の大学教授のゼミに、高校生ながら参加していた。ある日、教授から、調査した都市伝説を1冊の本として編纂してみないかと言われる。喜んで引き受けたものの、その日から様々な都市伝説に襲われて...と言う感じに話が始まります。

物凄く面白かったです。読んでいて興奮が止まりませんでした。現代社会に都市伝説や妖怪が混ざって生きている話って、大好き。昔からこのジャンルの作品は大好きな自分としては、この作品も大いにツボでした。扱うは都市伝説とそこから実体を持って生まれた伝鬼たちの数々。伝説の中にしかいないと思われていた存在が現実に現れて、人に混じって生きている。ここに感じるロマンと来たらもう!!!! 加えて、超常の力を持っていて人間よりも個体としては強いはずなのに、人間の記憶から忘れ去られると存在できない。そこに漂う儚さがとにかく大好きです。ページをめくるのが楽しくて楽しくて、最後まで一気読みでした。

都市伝説の編纂者として選ばれた主人公。都市伝説、そして伝鬼は、人から忘れ去られてしまったら存在出来ない。だからこそ編纂者として選ばれた主人公に、自分の事を知ってもらい、本に書いて貰いたい。そんな一心で次々に現れては主人公を脅かしていく展開が最高。出てくる伝鬼はみな女性の姿をしていたのですが、本に書かれた内容によって、己の存在が規定されてしまうと言う設定なので、とにかく良く書いて貰おうと必死のアピール。怖い存在のはずなのに皆可愛らしいのも素晴らしかったです。
登場した伝鬼では、紫鏡とメリーさんがお気に入り。古風で気さくな紫鏡の可愛らしさは大変良かったし、やさぐれモードのメリーさんも斬新で好き。基本的には都市伝説がメインですが、終盤には妖怪もチラホラと顔を出してきました。伝鬼と妖怪は仲が悪いようなので、今後も波乱が待っているんだろうなぁ。楽しみ過ぎる。

読み終わってから気付きましたが、帯のコメントが『ほうかご百物語』の峰守ひろかずさんですね。分かってるなぁ。最後までこの上なく満足な1冊だったので、是非ともシリーズ化を!!