”夕顔” ヒカルが地球にいたころ…… 2

幽霊のヒカルが生前に残した女性との心残りを、取り憑かれた主人公・是光が晴らしていく、源氏物語をモチーフとしたお話の2冊目。タイトル通り、今回は「夕顔」をモチーフとした「夕雨」と言う不登校の少女とのお話。

夕顔と言えば儚げな女性で最後には死んでしまう、と言う認識。なので今回のヒロインである夕雨が最後どうなるのか、とても気になりながら読んでいました。学校で虐められた上に家庭環境も良くなくて、狭いアパートの一室にこもっていると言う設定。ヒカルが生前に交わした約束が何なのかハッキリしないまま、是光は夕雨を呪縛から解放しようと奔走します。見た目の厳つさからあらぬ誤解を招きまくるものの、そんな外野の声には一切耳を傾けず、がむしゃらに突き進んでいく姿が相変わらず格好良かったです。
夕雨は、とても綺麗な事に加えて、ちょっとした事で砕けてしまいそうな透き通った儚さを持ったキャラとして書かれていたため、是光が徐々に夕雨へと惹かれていく展開に、当然の流れだな...と思う一方で恐くもあり。この想いが叶ったら壊れてしまうんじゃないか? と思わせる危うさを常に漂っていました。でも最後は...良かった!! いや、是光としては良くないのかな? でも、これは十分に幸せな終わり方だと思います。と言うか、別にフラれてないよね?
そして個人的にに大好きな帆夏。相変わらずのツンデレっぷりを発揮して、好きなのに素直になれず、結局是光のアドバイザー的立ち位置に甘んじている姿がとても切ないです。口で冷たく当たってしまい、後でジタバタしている様子が何とも微笑ましい。何とか頑張って欲しいなぁと思っていたら...ラストにまさかの展開。こ、これは...!!
次は「若紫」だそうです。帆夏のラストがどう繋がるのかも気になりますが、紫の君と言えば、源氏物語で欠かす事の出来ない重要人物の1人。楽しみ。