テルミー 2

1年ぶりの新刊。修学旅行の交通事故で亡くなった24人のクラスメイト。唯一生き残った輝美は24人の最期の想いを託され、その願いを叶えようとする。修学旅行に参加出来なかった主人公は、輝美の手助けをする...と言うお話の2冊目です。
ジンワリと優しさと切なさが伝わってくる、とても良い話でした。輝美に託された死んだクラスメイト達の想い。各人の想いに身を委ねれば、雰囲気はおろか人格すら変わってしまう程に強い気持ちを身に宿し、一つ一つ丁寧に叶えていくのですが...願いが叶った時に伝わってくる喜び、そして僅かな寂しさが何とも言えない気分にさせてくれます。
愛する人への告白のために薔薇を育てていたけれど、告白する前に逝ってしまった園芸部部長。部長に活を入れて映研部を盛り上げていた女優と脚本家。この2つの話がメインでしたが、どちらも良かったです。死んでしまった人は生き返らない。でもこうして最期の望みでも伝えられるのは幸せな事なんだろうけれど、一番の望みだったであろう、「生きて自分でその望みを叶えたかった」と言う願いだけは永遠に叶う事はない。輝美を通して願いが叶った事を喜び、安心して旅立っていく姿は、本当に良かった...と思うのですが、同時に、どうしても哀しさも感じてしまう。残されたやりきれない気分が。
残った人間は、引きずらずに前を向いて進むしかないんだな、と当たり前の事を再確認させられた1冊でした。まだクラスメイト達の望みは残っているので、是非とも最後まで続いて欲しいです。