百億の魔女語り 3

騎士候補生の主人公・アルトが、魔女の弟子・エーマや王国の姫・フォリーナ達と繰り広げるお話の3冊目。前巻でフォリーナ姫を助けたアルト。しかし意識不明で入院していたはずの妹が、病室から姿を消して、気が気ではなく...と言う展開。

面白かったです。妹を捜すために奔走するアルト、それを支えようとするエーマとフォリーナ。エーマはあまりにもお似合いなアルトとフォリーナ姫の関係を見て心穏やかではなく、自分を卑下する勢いで落ち込むし、でもフォリーナには姫としての立場があって、ただアルトを好きだと言えない。なんともどかしい恋愛模様でしょう。
身分ってややこしいよなぁ。そんなものをかなぐり捨てて、自分の気持ちに素直になればどれだけ良いか...なんて思っていたら、終盤にアルトくんがやってくれました。やっと妹を見つけてその目的を知り、しかしまた見失ってしまった。しかもエーマと共に。追いかければ騎士候補生としての立場を失ってしまう。でもそこで踏み出して、先へと進んだアルトが良かったです。
しかしそのアルトよりも格好良かったキャラが1人。フォリーナです。こんな風に背中を押してもらえたら、そりゃ決意する以外の選択肢なんて選びようが無い。アルトの追いかける先にはエーマがいるのに、それよりも落ち込んで目的を見失っているアルトを放ってはおけない。なんと強い人だろう。

次は謎めいたアルトの妹・アディリシア視点でのお話だそうです。一体何がどうなってこんな状況になったのか分かりそう。楽しみ。