夜のちょうちょと同居計画!

メディアワークス文庫で『空の彼方』を書いていた菱田愛日の新作が電撃文庫から発売。高校生から大学生までの学生のみで、あらゆる施設や店が運営されている自立都市が舞台。入学すると適性検査を経て、職業が割り振られると言う設定で、主人公は高校1年生。割り振られた職業は、なんとキャバクラのボーイだった。さらに、同じクラスのお嬢様・宮ケ瀬瑠花が同じ店のキャバ嬢が割り振られて...と言う感じに話が始まります。

面白かったです。店側どころかお客さんまで含めて学生しかいない街に、なんでキャバクラがあるんだよ! なんて最初は思いましたが、読んでみれば真っ当に仕事について書かれた1冊でした。一応、帯とかあらすじには「ラブコメ」と銘打たれていますが、ラブコメ成分は薄めです。
主人公の同期メンバーには、瑠花を含めて3人の同級生がキャバ嬢として就職。さらに交流を深めると言う店の方針で、この4人は同じ家で暮らす事になる...と言う展開。瑠花以外の2人は、ほんわかとした天然を装った真琴に、クールな彩香。タイプの全然違う3人を主人公がサポートする形で話が進みます。

この話がどこまでキャバクラの仕事模様を再現しているのか分かりませんが、キャバ嬢とボーイって、こう言う関係なのか...と、新しい発見があって良かったです。お店の性質上、女の子の方が立場は上で、それをサポートする方にボーイがいる、と言うのは分かるのですが、ここまで管理職的な立ち位置だとは知らなかった。
ヒロインは3人いますが、今回スポットが当たったのは瑠花。高飛車で見栄っ張りな性格のため、上手く仕事が出来ず落ち込んでいきます。初めての接客業、それもキャバ。他の接客業とは違った難しさがある仕事を前にして、上手く出来ずに落ち込み、上手く行った! と思ったらお客さんの本音を聞いて泣いて。どうしてこんなに試練ばかり...と思わずにはいられませんでしたが、でもそれを一つ一つ乗り越えていく展開が好きです。地道な努力が実った瞬間って、ホント良いですね。

こんな感じで楽しめた1冊でした。どうやらシリーズ化するようなので、次は他の女の子にスポットが当たるのかな? しかしお店のルールでキャストとボーイの恋愛禁止ってあるんだけど、これって後々揉める元だよなぁ。どうするんだろう。