雨の日のアイリス

第17回電撃小説大賞・4次選考作。若干ネタバレのある感想なので、未読の方は注意。
ロボット研究者・アンヴレラ博士によって作られた家政婦ロボット・アイリスが主人公。博士が大好きで、彼女の役に立ちたいと、日々家事に精を出していた。しかし、そんなアイリスに、ある日悲劇が...と言う感じに話が始まります。

嫌いな話では無いのですが、イマイチ物足りなさも残る1冊でした。真正面から泣かせにかかってくる話で、綺麗にまとまっているけれど、それがどうにも素直に楽しめず。悲劇を乗り越えた先にある結末は確かに感動的なんですが、この展開ならそれは当然の事のように感じました。終盤、もっと凄い展開が待っているんじゃないか? と期待していたので、ちょっと肩透かしを食らった気分。前評判が良かったので期待値が大きかった、と言うのもありますが...。しかしp.266のイラストと、ここに辿り着くまでの展開は良かった。まさか、あの像の姿がこんな伏線になっているとは!!
キャラクターではボルコフが良かったです。無骨なのに優しくて、イラストの雰囲気もピッタリ。読書会のシーンとか、静かに話を聞いている姿を想像すると、何とも言えない、ジンワリとした暖かい気持ちになりました。こう言うキャラ、大好き。