それがるうるの支配魔術 Game 1

土屋つかさ新作。「理操魔術」と呼ばれる、場の理を操る事で、その理が発現する魔術が存在する現代社会が舞台。主人公はルールと言うものにちょっとしたこだわりを持つ高校生。入学式の日、宙を軽く飛び回る一人の少女を見かける。誰もが彼女の存在に疑問を抱かない中、主人公がその事を指摘すると、途端にその少女が落ちて来て...と言う感じに話が始まります。

とても面白かったです。理操魔術の設定が非常にロジカルで、パズルを見ているかのよう。書き換えられた理は、その範囲にいる人間にとっては常識となり、疑う事すら出来ない。例えば「水は宙に浮かぶ物」と理を書き換えたなら、空中を漂う水を見ても疑問を抱かなくなる、と言うもの。しかし何故か主人公には魔術がかからず、さらに書き換えられたルールが一体何かを見つけて言葉にする事で、魔術を破る事が出来てしまう、と言う設定。魔術があれば何でもアリな世界ですが、でもそこには厳格なルールがあり、どんな魔術でもそのルールに従うと言う部分が素晴らしい。主人公が魔術を破るシーンが謎解き要素となっていますが、魔術があってもそこに理不尽さは無く、読んでいる方としてはゲーム感覚で挑めるのが良かったです。流石はボドゲ好きな作者なだけありますね。

ヒロイン・るうるも良かったです。「世界厄災の魔女」と呼ばれるほどの力を持った理操魔術師で、主人公に軽々と魔術を破られて懐いていく展開なのですが、話が進むにつれて過去が明らかになり、主人公から離れようとしない理由が分かってくると、懐く理由が良く分かる。主人公の「ルールの外に出る」と言う不可思議な力にも繋がり、どれだけのものが伏線として用意されているのか? と考えると、何か楽しくなってきます。
ラスト1行でビックリの展開まで用意されていたし、これは続きが楽しみ。期待しています。