花咲けるエリアルフォース

杉井光の新作。東西に分かれて内戦をしている日本が舞台。中学生の主人公は、ある日飛行兵器・桜花のパイロット適性があると徴兵される。桜花の性能はずば抜けているが、戦況はドンドン不利になっていき...と言う感じに話が進みます。
自分には合わない1冊でした。世界中のソメイヨシノが枯死したその日、桜と意識を繋いだ子供たちが桜花への適正を持ち、戦いへと駆り出される...と言う、桜を話の中心に据えた作品全体に漂う儚さと、今にも壊れてしまいそうな脆さから来る美しさは良かったし、ラストの帰還も良かったけど、どうも心揺さぶられない。綺麗過ぎて戦争をしている実感が湧いてこなかった印象を受けた事もありますが...この作品が書いている世界情勢はもう取り返しの付かないレベルまで来ている悲劇で、この先の未来にも希望は持てない。何でこんな状況になってしまったんだろう...と思うと、やるせない気持ちで一杯になってしまったのが大きいのかも。ただ、冒頭を読むと、どうやらこの戦争、終わるっぽいのですが...どうやってだろう。
しかしこの設定、良く書いたなぁ。子供たちが戦いに駆り出される話は良くあるけど、日本が内戦してて片方の総大将である桜子は陛下とか、割とギリギリなんじゃなかろうか。