わたしと男子と思春期妄想の彼女たち 1

第12回えんため大賞・優秀賞受賞作。
主人公は中学生の女の子。ある日、道で会った虚無僧から使い捨てのコンタクトレンズを貰う。学校で度の入っていないそれをつけてみた所、あられもない格好をした少女達が沢山見えた。それは男子たちの妄想から生まれた妄想少女。しかし自分が恋する少年・高柳には妄想少女がいなくて...と言う感じに話が始まります。
とても面白かったです。これは良い恋愛 & 青春物。男子が自分の理想を反映した妄想の少女達が見えるようになる...と言うおバカな設定と主人公の突進気味な性格に笑い、これはコメディで進むのかと思いきや、終盤は凄く良い話になっていてビックリ。また、主人公が女の子と言うのが最近では珍しく、あんまり読んでいないので間違っているかも知れませんが、少女小説っぽいと言えば良いのでしょうか。独特の雰囲気がありました。

幼馴染・高柳の事が大好きな主人公・あすみがとても気持ちの良い性格で良かったです。高柳くんを前にすると挙動が怪しくなるけど、影では猪突猛進に突き進む明るい性格がとても良くて、読んでいて常に微笑ましい気分にさせてくれました。妄想少女がいない = 理想の女性が現実にいる = 彼女...と言う連鎖から、誰が彼女なのか? 自分の恋は実るのか? と妄想少女たちと交流しながら探りを入れていく展開が面白い。恋する少女の、目一杯な暴走って素敵。

そして妄想少女達との交流。特にリサとの交流は、相手が妄想少女と言う事を超越した女の子同士の友情話が素晴らしかったです。主人公は貰ったコンタクトを使わなければ会えないし、リサはリサで妄想元である男子の気持ち次第で存在が危ぶまれる。凄く仲が良いのに、互いにずっと会える保障は無い。その儚さの上に成り立った友情を見せつけられたクライマックスが素晴らしかったです。

サブタイトルに「1」と入っているので、シリーズ化は確定の模様。凄く楽しめたので、続きに期待大です。