とある飛空士への恋歌 5

空飛ぶ島で暮らし、空の果てを目指したシリーズ、これにて完結。

素晴らしかったです。この一言に尽きる。
ニナの力で空族との戦いは一旦終わり、休戦交渉についたものの、相手の要求はニナの身柄。渡せるかと憤っても、この交渉を乗り切らなければ旅は最悪の形で終わってしまう。苦渋の決断を迫られる中、最大限相手の譲歩を引き出して進んだ交渉は見事。
ニナの身と引換にして戦いが終わり、旅は続く。ニナの覚悟とカルの気持ちは凄く痛くて痛くてたまらなかったのですが、そこから先の旅は再びロマンに溢れて。1巻でこの空の果てを目指す旅に感じたロマンが、ここで再び帰ってきました。この世界の形に驚き、イスラの迎えた最後にはカルエルやアリエルと共に涙して。これこそロマンだ!! と思わせてくれる旅模様が最高でした。
さらに凱旋してからの展開。3巻で皆がああなってしまった事が個人的にはとても辛くて、許せなかったぐらいなんですが、こうして結末まで読んでみると、あの辛い経験があったからこそ、この結末があったんだと思うようになりました。旅の間、皆が必死で成長していった事も、もういない皆の気持ちを背負って前に進む決意の表れ。
そして恋の歌。ニナの事しか見ていないカルエル、カルエルの事しか見えないアリエルの秘めた気持ち。行って欲しくない、そんな気持ちを抑えつけてニナを取り戻しに向かうカルエルを激励して見送る姿はとてもとても切なくて素晴らしかったです。表紙のイラストって、アリエル視点のこのシーンで良いのかな。しかし、終盤にアリーのその後を書いた文が数行あるのですが...そこに結婚の二文字が無かった事。したけど書かれなかったのか、それとも歌えない恋の歌が忘れられなかったのか...どっちなんだろう。

と言う訳で最高に良かったシリーズでした。読んで良かった。本当に良かった!!