金星特急 1

『金星特急』とは、絶世の美女『金星』が花婿募集のために用意した、謎めいた特急。突如として世界各地の駅に現れ、乗り込んだ人間を連れて行く。しかし過去数回、乗った人間が帰ってくる事は無かった。主人公は15歳の少年で、花婿募集のポスターに載っていた『金星』に一目惚れし、東京に現れた金星特急へと乗車するのだが...と言うお話。
評判が良いので読んでみました。とても面白かったです。大きな列車一杯に乗り込んだ花婿候補達と共に『金星』の元を目指すのですが、主人公・錆丸はホームで出会った怖めな外見と性格をした青年・砂鉄と、王子様のような格好をした青年・ユースタスと共に金星特急に乗り込みます。ノンビリした列車旅行...とは行かず、突然車両の幾つかが潰されたり、途中駅でライバルを蹴落とすためか死者が出たりと、決して穏やかではない旅路。
しかし、『金星』とは一体何者なのか? とか、この特急がどう言うルートで走るのか? とか、肝心な部分が殆ど謎のまま進む展開が、ミステリアスな雰囲気で良かったです。主人公達3人のコンビもそれぞれが秘密を抱え込んでいるような状況で、微妙な腹の探り合いが一層その雰囲気を引き立てているように感じました。この1巻では東京から出発して上海に着くまでの話なのですが、その間にも多くの事が起きて、この先の展開が全く分かりません。しかし一体どうなるのか? と言うワクワク感がついてまわるのが素晴らしい。無事に『金星』に会えるのか、続きが非常に気になります。