空色パンデミック Short Stories

『空パン』新刊は短編集。
とても面白かったです。全部で4つの短編が収録。本編とは異なり、大きな空想病が起こるわけではなく、小さな規模の空想病とそれに振り回される主人公がコメディよりな感じで書かれていたのですが、どれも素晴らしい出来で満足。
最初の3話はそれぞれ、『耳を澄ませば』『エヴァ』『メタルギアソリッド』が元ネタの空想病を結衣が発症するお話。当然そのまま元ネタが使われている訳では無いのですが、読めばすぐに分かる程度には使われているので、元を知っているとアチコチで笑えて良い感じでした。そして、各話をより盛り上げてくれたのは青井くん。役者として、結衣の空想病を完結させるように動くのですが...結衣と主人公を巡って張り合う展開が各所に盛り込まれていて、どうしようかと思いました。ここまで積極的に張り合うとは思っていなかったので、読んでいてニヤニヤが止まりませんでした。結衣も結衣で、空想病に囚われていても主人公の事になると地が出てくるのが素晴らしい。
最後の一編はメアリーの話。一時的に空想病を抑える薬を飲んだら、幼児化してしまった! と言う展開なのですが、振り回される主人公が面白過ぎます。メアリーが無駄に可愛らしいし...。主人公にあらぬ疑いがかけられるのも分かる。でもこの話も、最後の美味しい所は青井くんが持っていったんだよなぁ。ホント今回大活躍。素晴らしい1冊でした。