おやすみ魔獣少女 炎の記憶

シリーズ2冊目。親王家の血を引き、身に宿した魔獣を開放して圧倒的な力を振るう「領域魔術師」となった主人公の少女・エストが、生まれた山村を離れて都に出て、隣国と戦うお話の続きです。
相変わらずエストが良い娘過ぎて辛い。山奥の村からさらわれてきて、村を人質に取られたような状況で、いきなり親王家の血を引いているからその身に宿した魔獣を開放して隣国との戦争で戦えと言われ。戦いたくは無いけど、自分が負けたら悲しむ人がいる。死んでしまう人がいる。貧しい生まれ故郷の村に物資が送れない。そんな事情から、前向きに戦う事を選ぶって言うのは凄いなぁ。彼女のそばに仕える2人の従者が、主人公の事を第一に考える良い人達だと言うもあるんだけど...最初にさらったのもこの2人だし。一体どんな気持ちの入れ替えで、現状を受け入れたんだろう...と考えると、ちょっと切なくなります。
ストーリーですが、一気に進んだ感じ。隣国との戦争を膠着させているのは、両国の間に横たわる鉄壁の城塞。これを迂回できるルートは別の小国にあって、今回はその小国が話に絡んできます。その国を通って相手の国になだれ込めれば戦争は終わる。でも、その小国は中立を宣言。主人公に新しく仕える事になったメイドさんがこの国の出身だったり、幾つか伏線を張って進んだので少しは話を引っ張るのかと思いきや、一気にこの国の話にケリが。微妙にやるせない気分が残る結末だったのですが...これも戦争か。こんな辛い思いを1人で引き受けて、戦争終結に向けて突き進む主人公、強い。
これでメインの戦争も進展。展開が早いのは良い事ですね。何巻まで続くのか分かりませんが、この展開ならそれほど長くなく完結するのかな。
しかし2巻でもまだタイトルの「おやすみ」の意味は解けませんでした。主人公の設定を考えると、あんまり幸せな意味にはならなさそうな気がしてならないんですが...予想が外れる事を願おう。