子ひつじは迷わない

第15回スニーカー大賞・大賞受賞作。発売前からコミック化やドラマCD化が決まっていて、ちょっと話題になった1冊。
生徒会の中に発足した生徒の悩みを聞いて解決する「迷わない子ひつじの会」。そのメンバーの1人である主人公が、生徒の悩みを解決するために奔走するお話。
連作短編風に、いくつかの相談事を受けては解決するミステリ風味の形なんですが、基本的に相談事の真相に辿りつくのは主人公ではありません。謎に対して答えを出すのは生徒会室の隣にある準備室に居座る文芸部の少女・仙波さん。生徒会室の会話は準備室に筒抜け。仙波さんは本さえ読めれば満足な人で、準備室でダラダラ読んでいるのですが、そこへ主人公が踏み込んできた上に相談までされるので、常にご立腹。でも嫌々ながら主人公へ自分の考えを伝えるあたりが微妙に可愛く思えたり。色々と言いつつ、結局突き放せない所が素敵。
ストーリーとしては、それほど突き抜けている部分は無かったようにおもえたのですが、それでも安定して楽しめる感じが良かったです。どのキャラも立ってるし、主人公は主人公で仙波さんから聞いた話をそのまま相談してきた生徒に伝えるのではなく、どうすれば皆が幸せになれるのか? と言う部分を考えた上で伝え方を決める、その姿勢が主人公っぽくて良かったかと。物凄い善人で、その部分が気になると言えば気になるんだけど、その事についても仙波さんが作中で突っ込んでて、何となく納得してしまったし。普通に面白かったです。
受賞作なのに物凄い引きで終わっているので、続きが出る事は確定。メディアミックスが決まっているのに1巻で終わりとか無いよね。サブタイトルにも数字が入っているし。ここから一体どんな展開になるのか、楽しみです。