月光

第16回電撃小説大賞・最終選考作。
主人公は男子高校生。同じクラスのアイドル・月森葉子が落としたノートに挟まっていたメモを見てしまう。そこに書かれていたのは「殺しのレシピ」。そしてそのレシピに書かれていたような状況で、彼女の父親が事故死して...と言う感じで話が始まります。
ミステリ風味の恋愛もの。微妙に肌に合わない作品でした。
退屈な日常に飽きて刺激を求めていた主人公は、ヒロインの落とした意外過ぎるメモに心踊らせ、彼女に少しずつ近付いて行くのですが、逆にヒロインの方も主人公に急接近。いきなりの告白から奇妙な関係が続いていく展開は良い感じ。どちらも頭がとても回るキャラクタなので、ヒロインの接近は何か裏があるのでは? と疑ってしまいます。それは主人公も同様で。でもヒロインの魅力に徐々に誘惑され、惹かれていく展開が妖しかったです。他のクラスメイトに見せる優等生的な表情と、主人公に見せる小悪魔っぽい表情。そのギャップが素敵でした。
もう1人、クラスメイトの女の子がサブヒロインとして登場します。個人的にはこっちの娘の方が好きなんですが、流石に出番が無さ過ぎる...。しかも話の本筋には殆ど関係無いし。ちょっと哀れに思えてしまった。でもやっぱりワインとオレンジジュースなら、オレンジジュースが良いなぁ。このワインを飲めるほど、お酒に強くないです...。
事故の真相は一応最後に明かされるのですが、内容自体は重要ではなく、それすらも主人公とヒロインにとっては駆け引き...と言うか2人の仲を繋ぐ材料のよう。そんな主人公とヒロインに怖さを感じてしまったのが、あんまり肌に合わない理由だったのかも。好きな人は好きそうだけど。