サクラダリセット 3

超能力者の集う街・咲良田を舞台に、3日間世界を巻き戻す能力を持つヒロインと、完全記憶保持能力を持つ主人公のお話の3冊目。今回は過去編。主人公とヒロイン、そしてもう1人のヒロイン・相麻が出会った2年前に何がったのか? を中心に話が進みます。
素晴らしかった。本当に素晴らしかったです。このシリーズ、これまでずっと、読みながら雰囲気の美しさの中に怖さを感じていました。主人公やヒロインの言動に、そこはかとなく人間味の薄さを感じ、次の瞬間にはとんでも無い展開が待っているんじゃないか? と言う不安が常につきまとっていたからなんですが...この過去編を通じて、主人公達に一気に血が通ったように思いました。これまで彼ら彼女らを理解しきれなかった部分が補完された気がします。何故主人公はこの街で暮らすようになったのか。そして2年前、まだ中学生だった頃の主人公達がどのようにして出会い、今に至ったのか。このあたりの事情が説明され、その背景に理解が及ぶと、見え方がこれまでとは変わりますね。
そして終盤。とある一文が目に入った瞬間、奮えが走って直後に涙が溢れました。あるキャラの言葉なのですが、そのキャラは一体どんな気分でこの展開を導いたんだろう。それを考えると切な過ぎて。ちなみにそれは相麻の「この声が聞こえる?」なんですが、他に道は無かったのか...。辛かったろうなぁ。
と言う訳で、大変満足な1冊でした。ここから先どんな展開になるのか、非常に楽しみです。