耳鳴坂妖異日誌 となりにヴァンパイア

妖怪達の起こした事件を取り締まる耳鳴坂。そこで働く事になった普通の高校生な主人公のお話の2冊目。今回は置き引きの現場に居合わせ、被害にあった少女と知り合う主人公。この娘、実は訳アリの妖怪で...と言う展開。

主人公の功名心と言うか、「強くなって役に立ちたい」と言う焦りから来る微妙な空回りっぷりを、若いなと感心しながらも痛々しく感じながら読んでいました。前向きな所は好きなのですが、そんなに焦らんでも...と思わなくもありません。本人も分かってはいるんだろうけど、それでも止まらないもんなんだよなぁ。

序盤はコメディもありつつ軽く読める展開が続きますが、途中からドンドン話が重くなっていきます。1巻もそうだったけど、妖怪と人間...そう簡単には相容れない存在同士だからこその重さが、ずっしりと心にのしかかってくる感じ。今回は問題となった妖怪の性質が性質だから、余計に...。誰も不幸になりたくないし、させたくない。それでも己の存在が、そんな淡い希望を打ち砕く。辛い。けれど、それでも最後まで諦めずに抗った主人公達の真っ直ぐさが良かったです。

こんな感じで、普通に楽しかった1冊でした。今後に繋がる伏線をキッチリと張って終わっているので、続きが気になる所。