雪蟷螂

紅玉いづきの新刊。雪に閉ざされた山に住まう部族間の争いを書いたお話。対立する2つの大きな部族の有効のため、族長同士が結婚する事になったが、そこに邪魔が...と言う展開。
主人公の女族長・アルテシアの話...のはずなんですが、個人的には先代の族長達の話の方が面白かった気がします。と言うより、この先代たちの後始末と言うか、彼らが残したものを見届けるために、主人公達が奔走したように思いました。秘められた過去を目の当たりにして、自分の気持ちを再度確かめようとするアルテシアの行動は良かった。彼女の影武者・ルイの燃え焦がれるような想いは痛いぐらいに伝わってきたし、守護役・トーチカの信念も分かる。けど、それでも先代たちの話が強烈で、そちらに目を奪われっぱなし。そのお陰で、どうも読後感が薄味気味に思えてしまいました。
また、ふと気になったのですが、所々オウガとガルデの名前が逆になっている気がしたのは自分だけでしょうか。数箇所あって、ちょっと戸惑い気味だったり。

こんな感じの1冊でした。前2作もあんまり肌に合わなかったのですが、やっぱりどこか合わない感じが拭えない。好きな人はドップリとハマリそうな作家さんだとは思うんですが...。次はどうしたものか。


ところで。イラストが物凄く気に入りました。上手いのは当然として、雰囲気に凄く合っているのが素晴らしい。今回の表紙は、一見の価値アリだと思います。