セキララ!!

ファミ通の新人さん。第9回えんため大賞奨励賞受賞作。
昔主人公が書いてネットで公開していた、妄想の詰まった馬鹿一だらけの結構痛い小説のヒロインが現実世界に現れてしまい...と言うお話。かつてその小説を巡ってネットで大騒動があり、その結果、主人公は脱オタして高校からバンドを開始。彼女も出来て順風満帆と思いきや、いきなり現れた封印したい過去に対面してオロオロする展開です。


これは面白かったです。過去を隠そうと必死になる主人公が楽し過ぎる。
自分の机の中にも、昔書いた小説が未だに眠ってたりするんですが...はっきり言えば黒歴史です。あらすじを思い出すだけで発狂したくなる。しかも、当時は「面白いはずだ」と思ってたような気がするんだからさらにタチが悪い。もうね、主人公の必死さが凄く良く分かります。
それだけでも面白かったんですが、サブキャラ達がさらに面白くしてくれてます。オタクな同級生に、小説のファンだった猫好き花屋。さらに主人公の彼女まで...みんなキャラが立ってて素晴らしい。メインヒロインは騒動の中心のくせに影が薄かったけど、それが気にならなくなるぐらい。楽しかったです。

と言う訳で、普通に満足な1冊でした。この作品はこれで完結だろうから、次の作品が楽しみです。