赤朽葉家の伝説

地方の名家、赤朽葉家。千里眼を持つと言われた祖母・万葉、その娘・毛鞠、さらにその娘・瞳子。赤朽葉家3代の女性がどのような人生を歩んだか、瞳子の視点から、祖母たちから聞かされた話をまとめた伝記風の作品です。
すんごく面白かったです。
波乱に富んだ人生を歩んだ、女性達の伝記。言ってしまえば、ただそれだけなんですが...しかし、何でここまで面白いのか。不思議で仕方ありません。
石油ショックやらバブル崩壊と言った日本の歴史も踏まえつつ進む、万葉や毛鞠の不思議な人生がとにかく魅力的で、ドップリとのめり込んでしまいました。
また、何とも言えない独特の雰囲気が凄く良いです。淡々と進むかのように思わせながら、時折ユーモラスなシーンが混ざり、さらに、締める所はキッチリと締める。これもまた、魅力の1つでしょうか。
舞台を現代に移した瞳子の時代では、急にミステリ仕立てになってビックリ。すぐに真相に気付ける程度の軽いミステリですが...瞳子が謎を解いていく過程で、アレコレ考えて少し成長していく姿を読んで、「あぁ、桜庭一樹の本なんだなぁ」と思ったり。
と言う訳で、年明け早々、良いものを読みました。『少女七竈と七人の可愛そうな大人』に引き続き、この本も桜庭一樹作品の中でお気に入りの1つに。大満足。