M.G.H. 楽園の鏡像

以前ハードカバーで出版されていた、第1回日本SF新人賞受賞作の文庫化。ハードカバー版も持ってますが、久しぶりに読みたかったので文庫版で読了。
新婚夫婦を宇宙ステーションへ招待すると言うキャンペーン企画に、主人公とその従妹は偽装結婚して参加。滞在先である宇宙ステーションで、「墜落死体」が発見される...と言うミステリー作品です。
久しぶりに読んだけど、やっぱり面白い。無重力状態で「墜落死体」と言う不可思議な事件設定が面白いと言う事もあるんですが、科学を前面に押し出した話の展開が好みです。ちゃんとしたSFで、謎解きも一通り納得の行く出来。昔読んだ時、2つ目の事件のトリックは自力で解けて嬉しかった記憶があります。懐かしい。
最近の三雲岳斗には、この手の「科学」をネタにした話が少なくなっているのが、個人的には残念に思っていたり。使われている原理が現実に実現可能かどうかはさておき、読んでいて頭を使った気にさせてくれるのが楽しくて好きだったのですが...。『レベリオン』の頃は、まだ少し残っていたけど、『アスラクライン』には欠片も無いしなー。
同文庫から出ている、『海底密室』を久しぶりに読み返してみようか。こちらも良い感じにミステリーで面白かったので、『M.G.H.』が気に入った人は楽しめると思いますよ。