神曲奏界ポリフォニカ インスペクター・ブラック

神曲奏界ポリフォニカ』の新刊。既に榊一郎が2冊書いていますが、この作品はそのシェアード・ワールド・ノベル。通称『ポリ黒』です。
音楽を代償に精霊と契約を結び、その力を借りる神曲楽士。主人公とその相棒はその中でも、共に警察官として働き、精霊による犯罪の調査を行う精霊課の警官。稀代の神曲楽士と名高い人物が何者かに殺され、その事件を追う事で話が進みます。
構成的には、誰が犯人かは最初から分かっていて、その犯人の視点から、主役の2人である警官たちの捜査や推理に関わる...と言う作り。完全なミステリ仕立てで、犯人は完璧主義と言う設定なんですが...序盤からあからさまなミスをしているのはどうなんだろう。ミステリが得意じゃない自分でも気付いてしまったぐらいだからなぁ。
とは言え、話としてはそれなりに面白かったです。ミステリとしてはもう一捻り欲しかった所ですが、榊一郎の『ポリ赤』と微妙にリンクしているのが良い感じ。この前に出た『ポリ赤』で取り上げられていた事件は、こんな風になっていたんだなぁと。これぞシェアード・ワールド・ノベルの醍醐味か。今回は犯人視点が多くて、あまり主役2人のキャラがイマイチ掴み切れてないんですが、この辺は続きに期待したいところ。
このシェアード・ワールド・ノベルで、残るは高殿円の『ポリ白』のみ。来月発売のようですが、こちらはどんな作りになるんでしょうか。楽しみだ。