お留守バンシー

電撃の新人さんその1。第12回電撃小説大賞・大賞受賞作です。
主人であるヴァンパイアが教会のクルセイダーから逃げるために城を留守にしている間、他の住人達はお留守ばん。そして、ついにそのクルセイダーが城へとやってきて...。
こんな感じのお話。メイドのバンシーを筆頭に、ちょっとだらしの無いデュラハン、慎み深くて禁欲的なサキュバス、臆病なガーゴイルに庭師のリビングデッドと、個性豊かな面々が繰り広げる、ほのぼのしたコメディです。
普通に面白かった。あらすじとカラー絵を見た時は、もう少し童話的な内容になのかと思ったので、大分コメディ色が強かった展開に少し戸惑ったりもしましたが、そんな違和感は最初だけ。コメディとして読めば十分楽しかったです。
イラストが戸部淑っていうのも、なかなか良い選択かと。表紙絵を見たときは気がつかなかったけど、カラーイラストを見て「オオッ」と思った。中世で童話チックな話にピッタリとあったイラストなのは流石です。この人の絵は大好きなんで、余計に嬉しかった。
んで終盤、クルセイダーの爺さんが何のために城へ来たのか、その目的が語られた部分で爆笑。バンシーにまつわる、とある言い伝えがキーになってくるんですが...その部分を読んだ時は、なんだこのアホ小説、なんて思ったり。しかし、あとがきを読む限りでは、本当にその言い伝えはあるらしいです。バンシーといえば、人に害をなす暗いイメージを持っていたのですが、実際には違うようですねー。
と言う事で、この作品、絶対にあとがきを先に読んではいけません。激しくネタバレしてるんで。