百鬼夜翔 霧が閉じる黄昏

百鬼夜翔も遂に最終章へと突入。明記されてないけど、これは上巻だそうです。
日本中に霧が満ちた。境界を曖昧にする霧に包まれて、理性を失い暴徒と化す人間。人が妖怪を襲い、妖怪もまた妖怪と争う。事態を解決しようと、妖怪援助組織であるバロウズは、協力関係にある妖怪たちを招集するが、事態の展開が早すぎて...。
こんな感じ。規模のデカさで言えば妖魔夜行の最終巻以上だけど、派手さでは向こうの方が上と言った所でしょうか。怪獣大決戦みたいな話は今の所無くて、人間 vs 妖怪と言った面が表に出てます。人間相手に全力を出すような妖怪は出てきてないから、その分地味なんでしょうか。これはこれで、普通に面白いですが。
複数の登場人物にスポットが当たり、話がいくつも並列して進行している形。それぞれの話は密接に絡んでいて、ラストに行くに従って、二つぐらいに集約されていきます。あとがき読むまで気付かなかったんですが、この巻はモザイクノベルという手法で書かれているそうです。友野詳がプロット書いて、それを元に複数の作家さんが執筆、最後に友野詳が一つの物語として練り直す。最初、ちょっと話がバラバラすぎるなぁと思っていたのですが、これはそういう訳だったんですね。シェアード・ワールド・ノベルズのクライマックスとしては、最適な手法に思えます。
また、懐かしいキャラたちがかなり出てきていて嬉しい限り。未亜子さん出てるよ。天狗の人の出番はいつ? 過去のエピソードも微妙に語られていたりして、「あー、そんな事もあったなぁ」と思えるのも良い感じでした。昔から読んでいる自分としては、こういうシーン好きです。
この巻では、事態の元凶であるナイト・フォッグ側が一方的に押しているような展開。どんどんと絶望に追いやられていく主人公たちですが、下巻では一気に反撃へと転じる事でしょう。この世界にどのような決着が着くのか、非常に楽しみです。