小説創るぜ!

読者が考えた設定を基にプロ作家が小説を書く、と言うドラゴンマガジンの企画をまとめた本。富士見を代表する作家陣が書いているとあって、期待していた一冊です。
秋田禎信の作品は、軽いノリがちょっと微妙な感じ。男がいなくて女だけの世界っていう設定も、上手く馴染んでないような印象を受けました。しかし、精霊魔法? の仕組みは良かった。短編でも、こういったアイデアを惜しげもなく使うのにはちょっと驚き。どうせなら、この魔法の設定使って書かれた長編を読んでみたいかも。
続いて榊一郎。主人公は全寮制の学校に通うことになった女の子。普通の学園生活を夢見ていた彼女だったが、しかしその学校、実は巨大なロボットを用いて世界を破滅から救うために活動していた...と言う感じの話です。敵側の正体には思わず笑ってしまった。これも長編読んでみたいと思いました。これだけで終わるには、ちょっと勿体無い設定じゃないだろうか。
神坂一の小説は随分久しぶりに読んだ気がする。終盤のスレイヤーズみたいな、ちょっと...な感じだったらどうしようかと内心ビクビクしていたのですが、そこそこ面白かったです。自分の中ではスレイヤーズのイメージが強く、どうしてもそれに引きずられてしまって最近は敬遠してたのですが、これならもう一回読み始めても良いかも? 今なに書いてるのか全く知りませんが。
4人の作品の中で、一番気に入ったのが賀東招二。作中に、主人公が昔書いた小説を読み返してのたうち回るシーンがあるのですが、ここに凄く共感。思わず昔自分が書いた駄文を思い出しました。今でも机の中に眠ってたりするのですが、間違っても人には見せられません。どこかに流出しようものなら、あまりの恥ずかしさに多分死ねます。書いてた時には、友人に推敲してもらったような記憶があるのですが...今考えるとありえない。あとがきにもありましたが、これに共感できる人はかなり楽しめるのではないでしょうか。
どれもこれも面白く、かなり満足です。まぁこれだけの作家を揃えて、詰まらないと言う事も無いか...。