蛇にピアス/蹴りたい背中

一緒に書くのもどうかと思いますけど、まぁ同時に読んだようなもんなんで、まとめちゃいます。周知の通り、芥川賞受賞作2編。あーついでに今日の感想はネタバレ全開なんで、未読かつ読む予定の人は見ないほうが賢明です。
まずは『蛇にピアス』ですが、予想していたよりはずっと読みやすい文体にちょっと驚きました。こういう感じの一人称は読みやすくて良いです。しかし肝心の内容は...良く分からん。アマとルイの純愛もの。これはまぁ分かる。シバがアマを殺ったと言うのも途中で気づいたし、こいつなら殺りかねんというもの分かる。
しかし、最後のシーンがどうにも良く分からん。どう解釈すれば、この終わり方に納得いく説明が付くんだろう。歯を食ったのが、アマを忘れない決意なんだろう言うのも良いんだが、それとシバを信頼する終わり方に結びつかないんだよなー。これだったら、「アマを殺ったのがシバかもしれないという事実に、ルイは壊れた」と解釈するほうが100倍納得いく。
続いて『蹴りたい背中』。...やっぱりよー分からん。こっちも文章は読みやすくて、大して時間かからずに読み終えたんだけど...分からん。ハツとにな川はどっちもクラスの中で孤立しているけど、ハツはそれを気にしていて、にな川はそんなもん気にせずアイドルを追っかけてる。ハツはそんな感じで、似ているけど違うにな川が羨ましくも苛立たしいから蹴りたいんですか? 同族嫌悪と嫉妬みたいなのが入り混じった気持ちと言うのは理解できなくもないんだけど、なんかインパクトに欠ける気がします。後、会話文で「〜。」となってるのがちょっと不思議な感じ。業界標準って「〜」と、「」の終わりには句読点は使わないもんだと思ってたんだけどなー。
どっちの話にしても、主人公に共感が持てるかどうかで大きく評価が変わる作品なんじゃないかなぁと思いました。これがジェネレーションギャップと言う奴なんでしょうか? あんまり共感が沸かない分、非常にあっさりした印象になってしまい、どっちも読み終わった時点で思ったのは、「これで終わり?...で?」みたいな。自分がもう何年か若ければもっと違う感想が持てたんだろうけど、現状じゃこんなもんなんですかね。