ウロボロス・サイクロン 1

友野詳の新シリーズ。ダークエルフとエルフとグラスランナー(みたいなの)が主要キャラのコメディです。ダークエルフと言われて思いつくものと言えば、『残忍』『冷酷』等が普通でしょうか。自分の場合、頭に浮かぶのは「私の陛下を返せー!」な人だったりしますが。しかしこの作品のダークエルフは全然違います。
ダークエルフと言えば『冷酷非道』『残虐無比』。しかしそれは過去の話。現在のダークエルフは、森を離れ街に住み、しかしそんなイメージを壊さないよう影で高笑いの練習をしている程、人々の生活に溶け込んでいるのです。そんなダークエルフの中でも名門の家に生まれた娘『エリエリ』は、ドラゴンテイマー。ドラゴンを操り、エルフの『フワリ』、グラスウォーカーの『シュシュ』と共に運び屋を営むものの、経営状態はあんまり芳しくない。そんなある日、厄介ごとに巻き込まれて...。
こんな話。魔法の呪文がコクーンの魔法みたいに長い文章を一言で唱える、と言った設定も手伝って、すげーコクーンっぽいノリ。世界設定を隠してコクーンの続編ですと言われれば、多分信じるだろうなぁって言うぐらい。ダークエルフはちっともダークじゃないし、グラスウォーカーはどっからどう見たってグラスランナーだし。細かい設定(単位とか)のマヌケな決め方も、いかにもって感じだし。コメディ部分なんて、これでもかーと言いたくなるほど友野節ですよ。文体が独特なのはいつもの事として、キャラはどいつもこいつもしっかりと立ってるあたりは流石と言ったところ。コクーン好きだった人は、問題なく楽しめるんじゃないでしょうか。自分は楽しめました。
しかし結構中途半端なところで切りますなぁ。これは早いウチに続きを出すと言う暗示なんですかね。