フリッカー式 鏡公彦にうってつけの殺人 佐藤友哉 / 講談社NOVELS

皆さん『ファウスト』という雑誌をご存知ですか? 今年の9月に創設された雑誌で、講談社NOVELSの作家が中心となって小説を載せています。さて先日、良く行く本屋に平積みにおかれていたんで、1冊買ってみました。「舞城王太郎」「佐藤友哉」「西尾維新」といった面々の短編が掲載されていて、事前の評判も耳にしていたので、楽しみにしながら読んでみた訳です。
えーえー、愕然としましたよ。維新はともかく、舞城王太郎佐藤友哉の飛びっぷりにはついていけませんでした。けどここで思ったのです。いや待てよ、と。あからさまに毒電波をユンユン出しまくってる作品でも、作者は仮にも。仮にも賞を受賞してデビューした人間。今回はたまたま自分に合わなかっただけで、他の作品は素晴らしいに違いない。たとえとった賞がメフィスト賞であっても、それが面白かったからデビューできたんだろうと。なんたってあの京極夏彦森博嗣」を生んだ賞ですから。つまらない訳がないだろうと。
こんな理由から、先日友人宅に遊びに行った際、佐藤友哉の作品を持っているということで、何冊か借り受けたのです。今日読んだのはその内の一冊で、「佐藤友哉」が第21回メフィスト賞を受賞した『フリッカー式』。
それはもう、ワクワクしながら読んだのです。「森博嗣」の『すべてがFになる』は別格にしても、「西尾維新」の『クビキリサイクル』だってとても面白かったのですから。それに続いたこの作品は、どう自分を楽しませてくれるのかと。
けど。けどね。ここまで読んでくれた人はもう分かってると思うけどね。読了後、こう思ったわけですよ。


なんじゃこりゃぁああ by ジーパン


何が志保ちゃんニュースだ何がマルチだ何がさくらだ何が観鈴だ。いやそんな枝葉末節はどうでも良くて、最後のオチに愕然。これはミステリーじゃなかったのか? いつのまにファンタジーになった? いつのまにSFになった? 明日香は一体なんのために書いたんだ? 主人公の動機は一体なに? マルチなんて後何十年かかったって作れねーだろ? この本はいったいどこを読めばいいんだ? ...分からない、分からないよ。
しかしまだ借りてきた本は残っている。いやほら、面白くなかったら続編なんて出ないよね。今もまだ書いてるぐらいだから、巻を追う毎に面白くなっているに違いない。きっとそうだろう。むしろそうであってくれ。たとえ行き着く先が『ファウスト』掲載の短編だったとしても。
そんな訳で明日も佐藤友哉。負けるな。未来のオレ。