銀盤カレイドスコープ 海原零 / 集英社スーパーダッシュ文庫

少し前になるけど、まいじゃー推進委員会で大絶賛していた作品。あちこちで読まれているようで、遅ればせながら読んでみました。
主人公の女の子はフィギュアスケートの選手。オリンピック日本代表に手が届くほどの才能を持ってるんだけど、口の悪さも天下一品。マスコミ相手に喧嘩売りまくり。んで、その代表権をライバルと争って...てな感じで話が進んでいきます。
ネタバレは避けたいんで詳しい内容は書きませんが、これ相当面白いです。フィギュアスケートなんて全然知らなくても問題なし。知らなくったって演技のシーンは嫌でも目に浮かびます。
しかし一番感心したのは、試合前の緊張感が読んでてヒシヒシと伝わってくる所でしょうか。読んでて一緒になって緊張するような作品はこれが初めてでした。己の努力が試される瞬間。失敗した時の事を思う不安、成功の先にある喜びと栄光、相反する感情が混ざり合ったなんとも言えない緊張。その緊張をポジティブに受け止め、本番に臨んだときの昂揚感。そうして臨んだ本番でしか味わえない、『今なら何でも出来る』と感じる至福の時。こういう思いは誰しも、生きてれば一度は経験したことがあるでしょう。その時の感覚が読んでて思い出される程、うまく表現されてます。
ちょっと終わり方が物足りない感じがしたり、いくつか突っ込みたいところもあるんですが、それを差し引いても充分読む価値のある本だと思います。正直言うとそんなに期待してなかったんだけど、完全に裏切られたね。まいじゃーさんがあれだけ薦めるわけだ。