ソードアート・オンライン 10

シリーズ10冊目。引き続き、アリシゼーション編なのですが...これが物凄かったです。
現実世界との区別がつかないほど、本当に精巧な世界・アンダーワールドへと入ってしまい、脱出の方法を模索するキリトさん。その世界で何年も過ごし、多くの仲間を得て、徐々に目的へと近づいていくのですが...その過程のあちこちに垣間見える、世界観への言及に奮えました。剣の腕一つで、アンダーワールドを仕切る中心の組織へと近づいていこうとするその考え方も好きだし、何より、作り物の世界と知っていながらも、そこに住む人達を作り物とは思わず、真正面から正直に、そして真摯に付き合っていくキリトさんが素敵。特に終盤の決闘シーンには興奮しっぱなしでした。お互いに背負ったものの重さをそのまま力に変えて全力でぶつかる。やっぱり格好いいわぁ、この人。
外の世界では行方不明になってしまったキリトを探してアスナが奔走し、こちらはこちらで真相へと近付いていくのですが...これまた凄い。キリトのいる世界の正体がハッキリとします。何と言う壮大な。一体これの、どこからどこまでが茅場晶彦の思惑だったんだろう。まだその真相は藪の中ですが、まだまだ自分の考えが及ばないところまで、彼は考えているんだろうなーと思うと、続きが楽しみで仕方ありません。
そして。このSAOの世界の延長に、『アクセル・ワールド』の世界があるんだ、と言う事を明確に認識しました。加速し、意思の力が世界を上書きする、あの世界。その基盤がまさに生まれようとしている瞬間が垣間見えようとしている...と言う事実が、本当に熱くさせてくれます。とは言え、『アクセル・ワールド』を知らなかったら楽しめないのか? と聞かれたら、決してそんな事は無く。そもそも、web版が発表された時点では『アクセル・ワールド』は無かったし。でも、両方読んでて良かった。

サブタイトル「アリシゼーション」の意味に奮え、キリトの活躍に奮え、世界観の大きさに奮える。興奮しっぱなしの1冊でした。続き! 早く続き!!