魔法少女育成計画

街で流行っているソーシャルゲーム。自分好みにカスタマイズした魔法少女アバターに冒険を進めていくゲームなのだが、プレイヤーのうちの幾人かは本当に魔法少女となり、陰ながら街の人々を助けていた。しかしある日、魔法少女が増え過ぎたたため、現状の16人から半分の8人に減らすと運営からの通告。人助けをしてもらえる魔法のキャンディーが一番少ない人から順に、1週間に1人ずつ脱落していく事になって...と言う感じに話が始まります。

とても面白かったです。可愛らしいイラストとは裏腹に、えげつなく酷い展開の連続。良い感じに悪趣味で、読みながら続きがどうなるのかワクワクしていました。
魔法少女達が明るく楽しそうにしていたのは最序盤だけ。すぐに人減らしの話が持ち込まれ、周りの魔法少女は競争相手に。仲の良いもの同士は手を組み、悪どい陣営は如何にキャンディを稼ぐか? ではなく、如何に他の魔法少女からキャンディを奪うか? を考え始める。ギスギスとした空気が流れる中、それを上回るような悪意が各人の思惑を押し流していく展開が素晴らしかったです。
脱落した魔法少女がどうなるのか...は、言わずもがなな訳で、その事実が明らかになってからの荒みっぷりは物凄いものがあります。人を助けてキャンディを貰うなんて事は記憶の彼方に葬りさられ、直接ぶつかり合う魔法少女たち。単純なバトルに移行するか? と思った直後、狙い済ましたかのように、運営から提供される新たな要素。これには見事! と思わず声が出てしまった。最初から最後まで救いらしい救いなんてなく、一人また一人と消えていく。何でこんな事になったのか? と言う真相も明らかになりますが、やっぱりそこには悪意しかなくて、哀しさを通り越した虚しさが残るばかりでした。ただ、欲を言えば、ここまでやるならもっとキツく酷い展開でも良かったんじゃなかろうかとも思ったり。展開に慣れてくると、もっと!! って思ってしまった。
ラストは怖いなぁ。いつかこの子も破綻する。そんな悪い予感しか浮かんでこないよ...。