ココロコネクト ユメランダム

ココロコネクト』シリーズも大詰め。ふうせんかずらの引き起こす不可思議な現象。これまでは直接主人公達に影響を及ぼすものでしたが、今回は『他人の思っている事が白昼夢のように見える』と言うもの。しかも、主人公達自身、互いの夢は見ず、学校の他の生徒や教師に限定される...と言う展開です。

モヤモヤした気分が最初から最後まで晴れない1冊でした。考え方に共感出来るキャラが誰一人おらず、極論にも近い言い分で進む展開が気持ち悪く感じてしまいました。
今回発動したのは、本人達には実害の無い力。しかもふうせんかずらは「これが最後」と言い切り、稲葉は今回の乗り越え方として、「何もしない」と言う案を提案します。他人の事を夢見ても、その内容を口外せず、一切干渉しない。でも、困っている人を見たら放っておけないのが太一。力を使って困り事を解決してあげて感謝されて喜ぶ。これだけ見れば悪い事のようには見えないのですが...でも、こんなのいつまでも続けられるものじゃない。いつか破綻する事は分かり切った事だし、そうなった時に待っているのは、決して幸せな結末じゃない。それでも、手を伸ばし続ける太一には狂気にも近いものを感じました。
太一と対立する立場を取った稲葉のやり方にも納得できず。力を使わず、他者に干渉しない、その考え方は正しいと思いましたが...。太一の行動を正論でもって論破しても、いくら理屈で攻めた所で、相手が理屈の外で動いている以上、効果無し、どころか逆効果。もうちょっと説得の方法を考えようよ...と思ってしまいます。若い。太一に協力した唯、稲葉と同じ立場に立った青木も、2人の意固地な態度が移ったかのように頑なで、部の空気がひたすら重苦しくて、読んでいて辛かったです。唯一の救いは永瀬でしたが、出番が殆ど無い。このシリーズ、トラブルは大きくても最後にはスカッと終わってくれると言う印象があったのですが、今回はそうでもなかったので、読後感が...。
でも、青木と唯は良かったですね。ようやくか。後2冊? だそうですが、最後はスッキリした気分になれるような話が読めると嬉しいです。