期間限定いもうと。 1

『中の下』の作者の新シリーズ。
父親を早くに亡くし、父親代わりとして母と妹の面倒を見てきた高校生が主人公。ある日、学校で1人の少女と接触事故を起こしてしまう。その少女は母の仕事先のお嬢様。その子の家まで謝りに行くものの、あまりに家族愛に触れずに育てられている事に憤慨したら、なんと1年間限定で、家族の暖かさを教えるために、主人公の家で妹として暮らす事になって...と言う感じのお話です。

大変面白かったです。家族愛と恋愛、2つの愛に揺れる展開に、読みながら何回悶えた事か。素晴らしかったです。引き取ったヒロイン・沙綾は超お嬢様で、世間知らず。それも並の世間知らずではなく、TVの存在すら知らないぐらいの箱入り。主人公宅に引き取られ、驚きの連続で、最初は無表情だったのに、どんどんと表情豊かになっていく所が良かったです。これだけ箱入りだと、無防備さも半端なくて、しかも美少女だから主人公も気が休まらない。兄として懐いてくるもんだから余計に。その葛藤が美味しかったです。
主人公には別に本当の妹もいて、こちらも良い感じに話をかき回してくれました。反抗期? っぽく、兄には冷たく当たるものの、本心では大好きで、突然現れたもう1人の妹にかかりっきりになる兄にイライラ。分かりやすいほどの言動がたまりませんでした。良いなー良いなー。
さらに主人公の幼馴染キャラも登場しますが、こっちも素晴らしい。主人公の良き友、と言う立ち位置にいるけれど、勿論本心は違う。そのひたむきさが、切なくて切なくて。この主人公、本当に人気者ですね。でも気付いてないんだろうなぁ...。もう、応援する事しか出来ない。
こんな感じの1冊でした。1年間限定の妹。でも最後まで妹でいられるのかどうか、続きがとても楽しみです。