明智少年のこじつけ 1

第13回えんため大賞・優秀賞受賞作。学校で起こるちょっとした事件の数々。その全てを、友人・明智京太郎が名探偵を装った強引なこじつけで犯人を主人公・小林に押しつけてしまう。そんな明智を持ち上げ続ける友人の文美、そしてそんな明智を家族として大事にする妹の二重。ただ一人、明智のメチャクチャな推理に異を唱え続けて...と言うお話。

発想が凄く面白い作品でした。キャラクタの名前を見れば分かるとおり、江戸川乱歩のミステリーをモチーフとしており、明智と少年探偵団の関係を逆にしたようなお話。明智は全然名探偵ではなく、小林少年は毎回明智の迷推理の犠牲者。拳が唸って明智の暴走を止め、ぽろっと転がり出た真相で事件が解決する...と言う展開の繰り返しでした。
しかし、主人公を除いた登場人物がほぼ全員人の話を聞かない個性の持ち主で、読んでいて非常に厳しかったです。我が道を行くのは良いけど、全員が全員こうだと、ただただ疲れる...。文美とか、ホントなんのためにいたのか全く分からなかったからなぁ。
ただ、終盤の展開は良かったです。明智の誤推理の理由が明らかになるのですが、ここも見事にモチーフとの対比が取られているように感じて、ちょっと感動。でも、この真相を明かしてしまって、ここからどう続けるんでしょうか。タイトルに巻数表示があるのでシリーズ化は決まっているみたいだし。気になる。