VS!!

悪の組織の下っ端戦闘員として生を受けた主人公とヒロイン。怪人の取り巻きとして正義の味方「英雄機関」に挑んでは敗北する日々を繰り返していた。そんなある日、「最強の怪人」が誕生したと言う噂が持ち上がって...と言う感じに話が始まります。

悪の組織の雑魚戦闘員が主人公。正義の味方に負け続け、仲間はどんどん死んでいく。自分は勝つ事を目的とせず、ただ生き残る事だけを考える。表面上はこんなスタンスなのですが、胸の内には悔しさが募っていて、気が付けば正義の味方に勝とうと挑む...と言う展開が大変熱い。個々人の力は圧倒的な差があり、普通に戦ったら絶対に勝てない状況で、それでも勝つための道を考える所が良かったです。
また、ヒロインも雑魚戦闘員。戦闘員はホムンクルスで生まれてから間もないと言う設定。なのでヒロインはどこかつたなさが残る性格なのですが、それでも必死に主人公を想い、支える所も良かったです。気持ちを表に出さないのが、ただ押し殺しているのではなくて、表に出す方法を知らないだけなのではないか? なんて考え出すと、とても悶えます。
TVで戦隊物を見るとバッサバッサとやられていく悪の戦闘員も当然だけど生きていて、その裏にはドラマがあっても全然おかしくないよな、と言う事を改めて思い出させてくれた1冊でした。