妖魔夜行 闇への第一歩

かつて複数の作家がシェアードワールドノベルとして書いていた、『妖魔夜行』シリーズが復活!! 続編として『百鬼夜翔』シリーズもありましたが、『妖魔夜行』の名を冠しての作品は11年ぶり。「人の想いから妖怪が生まれる」と言う設定と、「妖怪が人間達の間で正体を隠しながら生活している」と言う設定、この2つだけを残し他の設定は全て旧作からクリアされた完全新作でした。
主人公は内気な女の子。勇気を出して告白して、想い人と結ばれた夜。この上ない幸せに包まれる中、その幸せが「バッドエンド」と言う妖怪を引き寄せてしまう。幸せを憎むこの妖怪に襲われてしまうのだが...と言う感じの展開。

昔のキャラは全く出てこないのはちょっと寂しかったのですが、しかし読んでいて「本当に妖魔夜行が帰ってきた...」と、強く思わせてくれるような話の展開にワクワクしっぱなし。これだよこれこれ!! 謎の妖怪に人々の生活が脅かされ、でもそれを別の妖怪達がなんとか食い止める。微妙に薄暗い雰囲気が漂う中、時には人間とも協力して進んでいく話が大好きです。
山本弘だしちょっとエロい展開もあるんだろうなぁと思ったら本当にあったし、主人公はただの内気な女の子かと思ったら、背中のチャックが閉まっているだけで開けたらとんでもないキャラで面白かったりと、そこまで重い展開にならなかったのも良かったです。昔の暗い雰囲気も好きなんですが、もしシリーズ展開するなら今後読めるだろうし。
また今回、敵役だった妖怪はバッドエンドと言う名前。どんな想いから生まれた妖怪なんだろうか...と思ったら、まさかの設定に笑ってしまいました。「触った対象を爆発させる」と言う能力の生まれが、そんな所からとは。たまに自分も使う表現なだけに...。これからはちょっと気を付けようかな。

ところで、気になる伏線を残したまま終わっているので、これはシリーズ化すると思って良いんだよね? 本当に楽しみで楽しみで仕方ありません。かなりの勢いで信者補正が入っているので、他人が読んで楽しめるかどうかは分かりませんが...気になる方は一緒に続きを待ちましょう!!